Arai Koh's Create Life

シナリオライター&ゲームライター・アライコウのブログ。創作、新旧の商業・インディーノベルゲームなどについて書きます。

多言語対応アドベンチャーゲームは40年前から存在していた

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 現在、多言語対応のノベル・アドベンチャーゲームはよく見られます。たとえば先日PS4で発売されたインディー発の『FATAL TWELVE』は、ゲーム中に日本語と英語を自由に切り替えられることをアピールポイントのひとつにしています。プレイヤー層を広げられるだけでなく、外国語学習にも役立つメリットがあるわけです。

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 さて、この多言語対応のアドベンチャーゲームの先駆けといえる作品はなんなのか、ふと気になったのですが、おそらくこれだろうという作品を資料で見つけることができました。

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 Creative Computing Magazineという雑誌の1980年4月号に「Bilingual Original Adventure」という記事があります。目次には「Enjoyable way to learn French(フランス語を楽しく学べる方法)」とキャプションが付いていました。
 アドベンチャーゲームの元祖として名高い『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』はさまざまなバージョンが生まれたのですが、Creative Computingもそのひとつを制作していたわけです。検索してみたら、最近海外のブログにもこれが取り上げられていました。これによればリリースは1979年。ちょうど40年前ですね。

bluerenga.blog

 

 ではCreative Computing Magazineの記事を引用してみます。

Ancelme Roichel*1 has added a new twist to the Creative Computing version of Original Adventure. The game, which is written in the Sam 76 language, may be played in either English or French.

アンセルム・ロイチェルはCreative Computing版のオリジナルアドベンチャーに新たな工夫を加えました。Sam76(プログラミング言語のひとつ)で書かれたこのゲームは、英語またはフランス語でプレイし得るのです。

 

When I first heard about this version of Adventure my reaction was one of enthusiasm on behalf of French speaking computer buffs. But I was skeptical about its value as a tool for foreign language teaching. It was with that attitude that I sat down to try the game for myself.

アドベンチャーのこのバージョンについて初めて聞いたとき、私の反応はというと、フランス語を話せるコンピュータマニアを代表するかのような熱狂ぶりでした。しかし私は、これに外国語教育のツールとしての価値があるか、懐疑的でした。そんな姿勢で、腰を据えゲームをプレイしてみたのです。

 こんな具合で、プレイレポートが綴られています。そして最後はこんな結論です。

With the exception, then, of the few annoyances I have mentioned - most of which do no more than slow the game - my evaluation of Bilingual Adventure is positive. I think it can be used very effectively in a classroom or tutorial situation for practice and reinforcement of vocabulary and reading skills. And if you get tired of self-improvement, you can always just play it for fun - it should be good for many, many hours of diversion even if you don't know French.

さて、これまで述べてきたいくつかの不快感(そのほとんどはゲームの進行を遅くする程度のもの)を除けば、私はバイリンガルアドベンチャーを肯定的に評価しています。授業や指導の場で、語彙力や読解力の練習や強化にとても効果的に使えると思います。そして自己の向上に飽きたら、いつでもただ楽しむためにプレイできます――フランス語を知らなくても、何時間ものいい気晴らしになるはずです。

 

 40年前から、多言語対応のアドベンチャーゲームが外国語学習の可能性として考えられていたのです。そして実際にそんな時代を迎えていることを考えると、この記事は慧眼と言わざるを得ないでしょう。