Arai Koh's Create Life

シナリオライター&ゲームライター・アライコウのブログ。創作、新旧の商業・インディーノベルゲームなどについて書きます。

もっとも古いアドベンチャーゲーム制作ツールのひとつ「Adven-80」

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 先日、eBayという世界最大級のオークションサイトを初めて利用しました。というのも、ノベル・アドベンチャーゲーム制作ツールの歴史上、見逃せない史料が出品されていたからです。で、それが本日ようやく届きました。

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 かつてアメリカで刊行されていたコンピュータプログラム専門誌『Dr. Dobb's Journal』。アップル創業者のひとりであるスティーブ・ウォズニアックが常連投稿者だったそうです。
 今回手に入れたのは、1981年11月号。表紙にも一番上に取り上げられていますが、An Advanced System for Developing "Adventures"――すなわち高度なアドベンチャー開発システム、「Adven-80」が紹介されているのです。この本とツールの存在を知ったのは以前足を運んだ、福山幸司/なべやきさん(@fukuyaman)の講義「世界のビジュアルノベルゲームは今。」というイベントでしたが、手に入ったのは幸いでした。

【参考記事】SIG-GS 世界のビジュアルノベルゲームは今。【第3回】を開催しました

For those not familiar with Adventure, it is a game which could simply not have existed before the age of the computer. Imagine reading a story tale where you follow the hero (or heroine) in a fantasy world where anything can happen.

アドベンチャーに詳しくない人のために説明すると、これはコンピュータの時代以前には存在し得なかったゲームである。何が起こるかわからないファンタジーの世界で、ヒーロー(またはヒロイン)を追いかける、そんな物語を読んでいるところを想像してほしい。

 紹介文はこんな書き出しで始まっています。どういうゲームが作れるかというと、"GO SOUTH(南に行け)"とか、"GET LAMP(ランプを取れ)"とか、"LIGHT LAMP(ランプをつけろ)"とか、単語入力による宝探しのテキストアドベンチャーゲームです。この手のゲームが、当時のアメリカではちょっとしたブームになっていました。

 本誌にはAdven-80のソースコードが丸々掲載されており、その気になれば誰でもテキストアドベンチャーを作ることができました。これが日本にも持ち込まれることになったのですが、少々面白い形でした。日本マイクロソフトの初代代表取締役社長である古川亨さんの著書に、こんな記述があります。

1982年のパロディー版アスキー(月刊アスキー1982年4月号のとじこみ付録である年刊AhSKI! 2号)に掲載された表参道アドベンチャーは、国産アドベンチャーゲームの草分け的存在だった。アスキー編集部の高橋直穂さんがAdven-80というアドベンチャーゲーム開発システムの記事が載っている『DDJ』(Dr. Dobb's Journal:ドクター・ドブズ・ジャーナル)を持ってきて、パロディー版ゲームのネタにしようという話になった。

『僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史』 P51

僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史 (NextPublishing)

僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史 (NextPublishing)

 

 

 その後、国内の雑誌でも「アドベンチャーゲーム開発システム」と称してソースコードを丸々掲載するという例が見られることになります。その果てに辿り着いたのが、現在のツクールシリーズの元祖「アドベンチャー・ツクール」というわけですね。

アドベンチャーゲーム制作ツール、その源流を辿る

これこそがツクールシリーズの元祖! 「アドベンチャー・ツクール」

 Dr. Dobb's Journal1981年11月号、まだまだ重要なことが書かれているかもしれないので、もっと詳しく読み込むためにも英語を勉強しないとな……と思います。