Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧の商業・インディーゲームなどについて書きます。

これぞアマチュアイズム! 『銀河特装ライジン』レビュー

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 6月に行われる札幌創作オフ会に参加することになりました。

 前々から北海道を旅行してみたいと思っていたのもありますが、主催者のNaGISAさんは15年以上前からフリーノベルゲームのレビューをされていて、フリーゲーム作家からスタートした私とは、お互いにレビューしたりしてもらったりという関係でした。ぜひ一度お会いしてお話ししたいと思ったわけです。
 で、その日が来るまでに参加者の作品には目を通しておくべきだろうと考えました。今回はたぬ子さん(@359_tanuko)の『銀河特装ライジン』のレビューです。

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 地球を守るヒーローの戦いを描くSFアクションで、1980年代の特撮番組をオマージュしたそうです(間違いなく宇宙刑事シリーズ)。
 本作のBGMはすべてフリー素材ですが、メインテーマのみサウンド制作会社に依頼されたようです。まずこの点が素晴らしかったですね。私も特撮番組はそこそこ嗜んでおり、最近はスーパー戦隊のライブDVDを中古で手に入れたりしていますが、特撮番組は第一にオープニングから盛り上がらなければならないのです。

 さて、本作の最大の特徴は、すべて一枚絵で構成されているということです。
 ノベル・アドベンチャーゲームの基本フォーマットである立ち絵&背景ではなく、全編にわたって一枚絵のみで見せてくれるのです。イラスト総数は差分込みで900枚を超えているとか。それらがテンポのよい会話文、活き活きとしたキャラクター、過不足ない演出とともに展開されます。
 こうした作品は過去にも、ビジュアルサウンドシアターと銘打った『マイ・スイート・トマト』などの例があります。

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 しかしこれも当初は有料の同人ゲームだったことを考えると、純粋なフリーノベルゲームでこの分量の一枚絵というのはほとんど前例はないでしょう。

 ノベルゲームはしばしば、その特性からデジタル紙芝居などと呼ばれてきました。
 だからこそ随所にフラグあり選択肢を導入したり、ちょっとしたミニゲームを加えたり、キャラクターや背景をグリグリと動かす演出に力を入れてみたり……少しでもゲームらしくあるようにと、クリエイターたちは試行錯誤を重ねてきました。
 しかし元来、「ノベルゲームはこうでなければならない」などというものはありません。デジタル紙芝居で何ら差し支えないはずです。
 もちろん商業作品であれば、諸々の制約があります。全編一枚絵のゲームなど、コストの問題を考えればフルプライスで制作するのは不可能です。かといってプレイ時間が1~2時間の小品では、そうそう企画が通らないでしょう。

 しかしアマチュアなら、それが可能になります。誰がなんと言おうとも、作りたいように作ればいい。
『銀河特装ライジン』はプレイ時間が1~2時間とコンパクトで、さながらオリジナルの特撮ヒーロー映画といった趣です。ストーリーもこのボリュームに合わせて、起承転結が実にしっかりしています。熱い戦闘、ヒロインの悲哀、そして爽やかなエンディング。非の打ち所がありませんでした。

 つまり誇張ではなく、『銀河特装ライジン』は商業作品では不可能な、これぞアマチュアイズムと言うべき作品なのです。これほどの力作を無料でリリースしたことには敬意を表します。