Arai Koh's Create Life

シナリオライター&ゲームライター・アライコウのブログ。創作、新旧の商業・インディーノベルゲームなどについて書きます。

『ポートピア連続殺人事件』はきわめて演出に意識的だったという話

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『ポートピア連続殺人事件』。1983年にエニックス(現スクウェア・エニックス)からPC-8801等で発売され、以降も数々の機種に移植された、ミステリアドベンチャーゲームの金字塔です。『ドラゴンクエスト』シリーズを手がけた堀井雄二さんの出世作としても知られています。

 私が『ポートピア連続殺人事件』を初めてプレイしたのはファミコン版(85年発売)でした。しかし発売当時にリアルタイムでプレイしたわけではなく、90年代に入ってからだったと思います。だから当時、クオリティ面で不満を覚えたのを覚えています。何しろ音楽がまったくなかったのですから。

 しかし現在、子供だった当時ではわからなかったことですが、『ポートピア連続殺人事件』はきわめて演出に意識的だったということを知ることができたのです。

 本作には音楽はなかったのですが、効果音はありました。オープニングにサイレンが鳴り(PC-6001版、MSX版などは衝撃音もあり)、以降はほぼメッセージの表示音のみが再生されます。
 そしてエンディングで再びサイレンが鳴るのですが……犯人を乗せたパトカーが遠ざかるような、もの悲しい響きになっているのです。このサウンドが、悲哀を帯びたエンディングをいっそう強烈に印象づけていると言えます。調べたところPC-6001版、MSX版などはオープニングとエンディングのサイレンが同じでしたが、ファミコン版はよりドラマチックにしようという意図があったのは間違いないでしょう。たったのワンシーンですが、そのワンシーンをおろそかにしないのがプロというもの。

 またPC-8801版は、ファミコン以上にマシンの性能に厳しい制約がありましたが、それを補う演出を組み込んでいます。それが文字色の変化です。重要な事実が明らかになったときなど、赤や黄色に変化させています。この演出はのちのファミコン版等では削除されています。グラフィックを存分に表示できたので、その必要はなかったのでしょう。

 もっとも最初の社会派アドベンチャーと言われる『ポートピア連続殺人事件』だからこそ、重要なテキストを色で強調するというこの演出は活きました。しかしそれにしても、35年近くも前の堀井雄二さんの着眼点は素晴らしいと言わざるを得ません。

ポートピア連続殺人事件

ポートピア連続殺人事件