Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧の商業・インディーゲームなどについて書きます。

破産したゲーム会社の債権者集会に行ってきた

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※この記事は2015年6月にnoteに書いたものです。noteを退会したため、こちらに転載することにしました。しかし今読んでも面白い(?)かと思います。

 

【前回の記事】取引先のゲーム会社が破産した

「取引先のゲーム会社が破産した」で書いた、M社の債権者集会がいよいよ開催された。債権者の私は複雑な感情を胸に、霞ヶ関の家簡地裁合同庁舎に向かった。

 建物に入ると、最初に待っていたのは手荷物検査。さすが政治の中枢、霞ヶ関である。なかなか貴重な体験をした気がした。

 さて、ネットで得た予備知識として頭に入れていたのは、

  1. 未払いのお金が返ってくることは100%期待できない
  2. そのため、債権者は無駄足と感じて集会に出席することは少ない
  3. できることは破産管財人の報告を聞くだけ

 の3つである。

 会場に足を踏み入れると、すでに多くの人が集まっていた。ここで勘違いしていたことに気づいた。私の参加するM社の債権者集会のみではなく、いくつもの債権者集会が同時に行われるのだ。なるほど、そうでなければ回せまい。毎日のように個人や企業が破産に陥っているのだと、私は今さらながら気づかされた。

 午前10時、弁護士の先生が集会の開始を宣言する。次々と呼ばれる債権者たち。すると、ものの1、2分で終わっているところがあった。こんなにもあっさりしているのかと仰天し、私たちもそうなってしまうのだろうかと不安になった。

 ややあって、M社の債権者が呼ばれた。私を含めて10人以上はいた。先述の2に関しては、外れたことになる。たとえ債権を回収できなくても、話だけでも聞かなければと考えたのだろう。

 

 私たちの対面には、管財人と破産者であるM社の社長が座っている。ノーネクタイのスーツ姿だった。表情は冴えない。もちろんこんな状況で笑っていられるはずもないが。

 あとは、事前の予想どおりの進行だった。「財産目録及び収支計算書」というものが渡されたが、要するにお金はありません、と書かれている。出席者たちは何も言わない。何とも沈鬱なムードである。

「質問のある方いらっしゃいますか」

 管財人が言うと、ある男性がいろいろと質問した。なんとか債権を回収したいという切実な思いが伝わってきたが、さんざん手を尽くした結果が、このペラッペラの収支計算書なのである。どうにもならない。しかしせっかくなので、私も質問してみた。

「M社はゲーム会社。デジタルデータもあると思うがそれはどうなっているのか」

 原稿料の代わりに何かデータをもらえないだろうか、という思惑があったのだ。が、やはり無駄だった。お蔵入りになったあの美少女キャラクターたちが、なんだか可哀想になった。

 それで集会は終わった。社長は終始「全部弁護士に任せている」というように沈黙を貫いていた。何も言わないならなぜそこに座っているのか、と正直思った。前回、社長の謝罪の言葉くらい聞いておきたいと書いたのだが、叶わなかった。とはいえ誰もが「何か言うことないのか」と発言することもなかった。たとえようもない脱力感が場を支配していた。

 会場を出ようとすると、さきほどの男性と、もうひとり別の男性が、お茶でも飲みながら話し合いましょうと言っていた。この後も問い合わせは受け付けているようなので、一緒にその作戦でも練ろうということらしい。心の中でひそかにエールを送りつつ、私はさっさと建物を抜けて、気晴らしに千駄ヶ谷の将棋会館へ向かった。2勝1敗で、そこそこ満足した。

 

 私が今回体験したことは、すべてのゲームクリエイターにとって決して無縁ではない。もちろん取引先の破産はゲームクリエイターだけの問題ではないが、たったの2ヶ月でサービス終了するソーシャルゲームのニュースを見たりすると、ゲーム業界とはなんと不安定かと思い知らされる。

 だが、もとより何が当たるかわからないのがゲーム業界だ。不安定なのは仕方がない。だからせめて誠実な商売をしていきたいと思う。

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