Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

二次創作を殺し、また新たに生み出した虚淵玄シナリオ「Fate/Accel Zero Order」

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 先日から始まっているFGOのイベント「復刻版:Fate/Accel Zero Order -LAP_2-」、ラストまでプレイし終わりました。私は2017年の元旦からFGOをプレイしたため、このイベントは未経験でした。ずっと楽しみにしていたのですが、本当に楽しかった。特にケイネス先生。TLにもいろいろなイラストが流れてきて、二重に楽しい思いができました。

 さて、未読の方も結構多いと思うので説明すると、今回のイベントの元となっているのはFateシリーズの大本である『Fate/stay night』(以下stay night)の公式スピンオフ小説『Fate/Zero』(以下Zero)です。第1巻の初版は2006年12月だから、もう10年以上前になります。当初はTYPE-MOON BOOKSとして限られた販路のみの流通でしたが、現在は星海社から文庫で刊行されています。一気に知名度をアップさせたのは、もちろんアニメ版でしょう。小説は苦手だしアニメは高価だから……という人にはコミック版がいいですね。ただしグロ注意。

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

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Fate/Zero Blu-ray Disc Box Standard Edition

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Fate/Zero(1) (角川コミックス・エース)

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  • 作者: 真じろう,虚淵玄(ニトロプラス)/TYPE-MOON
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  • 発売日: 2012/09/01
  • メディア: Kindle版
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 原作者はニトロプラス所属のシナリオライター・虚淵玄氏。近年はゲームよりアニメ・特撮関係の脚本家として活躍されています。

 stay nightにおいてほとんど語られていなかった第四次聖杯戦争を描くZeroは、当時のFateファンをそれはもう興奮の渦に巻き込んだものです。
 原作を元に新たなモノを作る――この本来の意味で解釈すれば、公式スピンオフもすなわち二次創作に当てはまるわけですが、率直に言ってしまえば、Zeroは現在に至るまで最大最上のFate二次創作小説です。
 あくまで美少女ゲームのフォーマットに当てはめて作られているstay nightが光とすれば、Zeroはまさに闇。約束された無慈悲の脚本。これ以前から実力派として評価の高かった虚淵氏ですが、このZeroと『魔法少女まどか☆マギカ』の大ヒットによって、ウロブチ=死・鬱・絶望というイメージが定着することになります。

 しかし闇と死に満ちていたZeroの中で唯一、小さいけれど確かな輝きをもたらしていたのがウェイバー・ベルベット。
 第四次聖杯戦争のマスターの中で唯一生き残り、なんやかんやあってロード・エルメロイⅡ世を名乗ることになり、またなんやかんやあって諸葛孔明としてFGO世界に召喚されたわけですが、そんな彼を主人公にしてまたZeroの物語を――しかも原作者の虚淵氏自ら――紡いだわけですから、二次創作殺しもいいところです。
 想像力豊かなZeroのファンは、この作品に光を投げかけようと試みていました。すなわち「どうすれば彼ら、彼女らは救われたのか」。本来は悲惨な運命を辿るキャラクターたちは、どんな条件が揃えば生き残ることができたのか……。とはいえ条件はだいたい決まりきっていて、こんな感じになるようです。

 これを公式でやったのだから、面白くないはずがありません。というか小説とは違い、グラフィックもあればサウンドもあれば演出もある。少しずつシナリオを進めて盛り上げていくソシャゲのシステムとの相性も抜群でした。

 そして現在、この最上の救済シナリオをネタにしてTwitterやpixivで数々の二次創作イラストを見ることができます。初出の2016年当時もあったでしょうが、今のほうがFGOユーザーは爆発的に増えています。
 ファンの二次創作を殺しにかかるような圧倒的クオリティでしたが、それがまたファンによる愛あるイラストを生んだりして、これこそ好循環だなと感じ入った次第。お見事でした。