Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

『ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル』をレビューしてみた

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 商業・インディー問わず、ゲームクリエイターが例外なく渇望するもの、それがレビューです。
 私はフリーノベルゲーム作家としてクリエイター人生をスタートさせましたが、その頃からさまざまなレビューサイトにお世話になってきました。自分の作品が取り上げられたとき、どれほど嬉しかったか。そして自分自身でも、プレイした感動を誰かに届けたい――そんな思いでゲーム制作のかたわら、ノベルゲームレビューを書き連ねたりしました。
 今思い返すと、当時の私は決して上手いレビュアーではありませんでした。失礼なことを書いてしまって苦言を呈されたことも何度かありました。
 たとえマイナスなことを書いても、リスペクトを欠いてはいけない。私は今、常にそのことを胸に留めています。

 さて、今回レビューするのはM.Mさん制作の『ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル』。ダウンロードはふりーむからできます。

www.freem.ne.jp

 M.Mさんは長らくノベルゲームレビューサイトを運営している方で、私も何度かお会いしたことがあります。コミティアではビジュアルノベル部の「ソムリエ」として、クリエイターとノベルゲームファンの橋渡し役を務められたことも。
 そんなM.Mさんが、先日のコミックマーケットで大変ユニークな作品を頒布しました。それが『ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル』です。
 内容はタイトルのとおりです。ホラーだのミステリーだの、予想外の仕掛けがあったりはしません。M.Mさんがいつもやっているとおりの、非常に真摯なレビュー。それをビジュアルノベルという形態で見せる、実に画期的な試みなのです。

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 題材はサークルSEAWESTの『春のうらら』。以前は有料でダウンロード販売されていたようですが、現在はフリー公開されています。
 私はこの作品を未プレイのまま、『ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル』をプレイしました。途中から「ネタバレあり注意」になるわけですが、意を決してプレイを継続しました。
 幸い、『春のうらら』の面白さは何ら損なわれないだろうと感じました。それというのもM.Mさんの真摯なテキストと見せ方が上手いおかげだと思います。

 そもそもレビューをビジュアルノベル形式で見せるということに、どのような意義があるでしょうか?
 それはレビュアーの思いを、演出で補強することができるということです。
 自分の言いたいことは何か――通常は文章のみでそれを伝えようとするわけですが、ビジュアルノベルという形を得ることで、キャプチャ画像と音楽という強力な素材を活用できます。

文字だけの状態と比べて、自分が伝えたい事を分かりやすく表現できました。

 と、あとがきに書かれているとおりです。実際プレイしている側としても、レビューで語られているシーンをもっと詳しく見てみたい――そんな気持ちが、文字で書かれているよりもはるかに増幅するのを感じました。


 実は常々思っているのが、ゲームライターやレビュアーの方々には、実際にゲームを作ってみてほしいということです。クリエイターが他作品をレビューをするケースは、私もそうですが珍しくありません。しかしその逆っていうのはあまり聞かないんですよね。
 作り手の苦労を少しでもわかってほしい――という単純な理由もあるのですが、ゲームを実際に作ることで、ゲームにおける最重要の要素――演出についてもっと深く知ることができます。
 作り手は何を考えて、この画像を使ったのか? この音楽を流したのか? そういったことを経験することは、ゲームライティングに携わる人にとって、決して損にならないはずです。