Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

今年はTYPE-MOON商業化15周年。で、月姫リメイクが出ない理由を考察する

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 15年前の2003年春、今でも鮮明に思い出せることがあります。
 同人ノベルゲーム界に金字塔を打ち立てた『月姫』、この偉大な作品を送り出したTYPE-MOONが商業への移行を発表したのです。

 それまでの集大成である『月箱』のリリースと、商業化に向けてのメッセージ、そして夕焼けにたたずむレンのイラスト。彼らの強い決意と美しさに、当時ただの大学生でしかなかった私も、非常な感銘を受けました。

 同人サークルとしてのTYPE-MOONが最後の活動の場に選んだのは、4月29日のコミックレヴォリューション33。私も足を運びましたが、『月箱』は同人ショップで買うと決めていたので、ブースに並ぶことはありませんでした。しかしその長蛇の列を見て、ああ、なんてすごい――――(奈須文体)と思ったものです。
 もちろん『月箱』は、今でも大切に取ってあります。

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 というわけで、今年はTYPE-MOON商業化15周年です。
 一アマチュア集団でしかなかった彼らは、『Fate/stay night』シリーズ、特に近年の『Fate/Grand Order』の大ヒットによって世界中にファンを持つ存在になりました。
 しかし古くからのTYPE-MOONファンにとって、やはり忘れられないのが『月姫』です。いつリメイクされるかというのは、それこそ商業化当初から話題になっていたものです。

 そして2008年発売の『TYPE-MOONエース』で、リメイクが発表されました。そのときの感激たるや、筆舌に尽くしがたいものがありました。
 しかし――今もリリースはされていません。対象年齢が元の18禁か、それとも全年齢かすら不明。今年はリメイク発表から10周年でもあるのですが、ほとんど進展がない状況が続いています。
 これはいったいどういうことなのか? いかにFGOで忙しいとはいえ、10年もあったのですから、時間がないということはないはず。最近、虚淵玄さんとのこんな対談もあったようですが……。

 

 マーケティングの問題が大きく横たわっているのではないかと推察します。

 TYPE-MOONは、メンバーたちが想定していた以上に大きくなりすぎました。企業の規模というより、彼らの作品のもたらす影響力が。
 未成年や海外の人にも浸透したコンテンツを抱える彼らにとって、元の18禁で出すのはメリットよりデメリット、リスクのほうが高いでしょう。『月姫』にしても『Fate/stay night』にしても、そもそもなぜエロゲーとして出したかと言えば、そうしないと売れないからです。当初のTYPE-MOONには、エロゲーメーカーとしての選択肢以外はありませんでした。
 しかし今は全年齢オンリーでやっていけるほど成長しました。
 ゆえに月姫リメイクは18禁では出ないと予想しています。出すメリットが薄い。というより、出すことを許されなくなってしまった。
 FGOとの影響力とは、そういうことです。リメイクを出すにしても、もはやTYPE-MOONの一存では決めることができなくなってしまいました。

 この数年で、マーケティング戦略の大幅な変更を強いられたはずです。それは内容自体の再構築をも余儀なくされた。

 つまり今はFGOユーザーにも訴求する作品にするべく、「リメイクのリメイク」とも呼ぶべき作業の真っ最中なのではないでしょうか。そう考えると奈須さんの「モチベーションが高まっている」や虚淵さんの「着々と準備が進んでる」という言葉も納得できます。

 今もまだ、破壊後の創造の段階なのです。

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