ああ、これこそが同人だ。
何にも囚われない。人真似ではない。独自の世界を持つ物語。
そう思った数少ない作品のひとつがこちらです。
サークル半端マニアソフトが2003年にリリースした『冬は幻の鏡』。この作品を知ったきっかけは、さる大手レビューサイトで大絶賛されていたのを見て……でしたか。自分で発掘したかった、と今でも思います。
複数の主人公からなる多視点型長編ノベルゲームで、高校に出没する留学生の幽霊を巡る事件を、個性に満ちた放送部員たちが解決に乗り出すという筋書きです。彼らが織り成す物語は痛快の一言! 序盤は尽きることない数々の下ネタで哄笑を誘い、中盤からは若者らしいハイテンションな行動と思念を描いています。そして終盤はそれまでのイメージをガラッと覆す、学園ホラーの枠を超えた伝奇的ストーリーが展開されます。
何より惹かれたのが、文体でした。熱量とドライブ感にあふれ、とても他人が真似できないオリジナリティがあるのです。まさに鬼才。私はこれですっかりシナリオ担当・渡辺僚一さんのファンになりました。
渡辺さんは現在、シナリオライター・小説家として縦横無尽に筆を振るっています。手がけた作品が萌えゲーアワードに入賞するなど、その評判は業界内でも確かなものになっています。

はるまで、くるる。~春の日のような、甘くて果ての見えない、悪夢と終末のハーレム
- 作者: 渡辺僚一,師走ほりお,笹井さじ
- 出版社/メーカー: 桜雲社
- 発売日: 2017/03/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
さて『冬は幻の鏡』ですが、嬉しいことに現在はフリーソフトとして自由にプレイできます。最新のOSでちゃんと動くかどうかはわからないのですが、ぜひともダウンロードしてみてください。