Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

ひぐらしのなく頃にアンソロジーノベルの思い出

月姫』とともに同人ノベルゲームの金字塔を打ち立てた『ひぐらしのなく頃に』。同人発でありながら、コミカライズやコンシューマー化など数え切れないほどの商業進出を果たしましたが、その中のひとつにアンソロジーノベルがありました。

 この手の商品はプロの作家ではなく、ファンから原稿を募るという形態のものも多いのですが、ソフトガレージという会社が出していた『ひぐらしのなく頃にアンソロジーノベル』もそうでした。
 優れた作品は即掲載という魅力的な募集に、当時の私も応募したのです。そして採用しますという連絡が来たときの喜びを、今も忘れることはできません。これが私の記念すべき商業小説デビューになったわけですから。

ひぐらしのなく頃に アンソロジーノベル・陸〈6〉 (ソフガレノベルズ)

ひぐらしのなく頃に アンソロジーノベル・陸〈6〉 (ソフガレノベルズ)

 

 6巻目に掲載されたその作品は『百年目に見た少女の日常』。古手梨花がループのさなか、ふとしたことから記憶を失い、ごく普通の少女として日常を過ごす――その切ない様子を羽入視点で描いています。今回10年ぶりくらいに読み返してみましたが、我ながら面白いんじゃない、と思いました。さすがにもう新品では手に入らないでしょうが、中古ショップ等でお見かけの際は手にとっていただけたら嬉しいです。
 続く7巻目にも応募して、これも採用されました。『無神経なあの人』というタイトルで、前巻とは打って変わって鷹野&富竹をメインにしたギャグテイスト。我ながらバカなことを書いたなあ、と思いました。

ひぐらしのなく頃にアンソロジーノベル・漆(7)(ソフガレノベルズ)

ひぐらしのなく頃にアンソロジーノベル・漆(7)(ソフガレノベルズ)

 

 それからしばらくして、ソフトガレージの担当さんが一迅社に移籍し、またひぐらしのアンソロジーノベルをやるというので、私に声がかかりました。喜んで承諾し、『スプラッシュ・サマー』というタイトルで掲載されました。
 悲惨な運命を切り抜けた部活メンバーたちの平和な夏休み――アンソロジーノベルへの参加はこれが最後になりましたが、自分としてはその最後にふさわしい内容だったかと思います。

ひぐらしのなく頃に ノベルアンソロジー(2) (DMC NOVELS)

ひぐらしのなく頃に ノベルアンソロジー(2) (DMC NOVELS)

 

 これらアンソロジーノベルの執筆は、私が作家としてやっていくのに少なからず自信になってくれました。こういうチャンスを与えてくれる同人作品はもう出ないだろうなと思うと、少し寂しい気持ちもありますね。