Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

同人ゲーム界に咲いたひまわり。壮大なるSFアドベンチャー

 2007年、同人ノベル・アドベンチャーゲームは07 Expansionの第二作『うみねこのなく頃に』や先日も記事にしたアパシーシリーズで盛り上がっていましたが、人知れずもうひとつの名作がその産声を上げていました。

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 サークルぶらんくのーとがリリースした『ひまわり』。有名作なのでご存じの方も多いでしょう。

 時は2050年。高々度旅客機の墜落で両親と記憶を失うという悲しい過去を持つ主人公は、学校で「宇宙部」に所属している。幼馴染や宇宙部の部長との楽しい毎日は、彼に事故を忘れさせていたが、ある夜、空から少女の乗るUFOが落ちてきた。アリエスという名の少女は名前以外の記憶を失っており、主人公と同棲することになる。その日から周囲に不穏な気配が漂ってきて……。
 ジャンル名は「ロリっ娘宇宙人同棲ADV」などと可愛いものですが、この字面からはとても想像ができないほどの緻密なSF設定でじわじわと人気を獲得し、後にコンシューマー化、コミック化なども果たし、同人ゲーム界にその名を刻みました。

ひまわり-Pebble in the Sky- - PS Vita

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ひまわり 1 (ガンガンコミックスJOKER)

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 同人版は18禁で、今となっては結構なレアモノだと思います。サークルの人たちも、まさか売れるとは思っていなかったのでしょう、メディアはCD-Rでした。初版の発行部数はせいぜい数百にすぎなかったはずです。

 私はそれまでSFというジャンルにさほど思い入れはなかったのですが、「SFとはこんなに面白いものなのか!」と本作をプレイして思い知りました。
月姫』や『ひぐらしのなく頃に』はシナリオのオリジナリティと突き抜け具合が人気の要因でしたが、『ひまわり』は稀に見る総合度の高さでプレイヤーの心を掴んだと言えます。
 そして同人ゲームならではの展開もありました。

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 本編の人気を受けて作られたサウンドトラックCDです。「オリジナルサウンドトラック」ではありません。BGMはすべてフリー素材だったのですが、各素材作者の好意により、ひとつにまとめられました。こういう例は他ではほとんど聞いたことがありません。
 私はPSP版もプレイしましたが、そちらはもちろんすべてオリジナルのBGM。オープニング曲などは明らかに同人版を意識して作られていたのですが……正直に言って同人版のほうが魅力的でしたね。
 そのオープニング曲とは、同人ゲームではおなじみの素材サイト煉獄庭園より『咲けない花』。ひまわりというタイトルと奇跡的にマッチした良曲です。フリー素材だから当然他の作品でも使われているのですが、どうしても本作を連想するようになってしまいました。