Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

まだ完成を待っている。戦闘的残酷ビジュアルノベル

 同人ゲームが完成する割合。はたしてどれほどあるやら? もちろん統計などあるはずもないですが、二割にも満たないのではないかというのが私の印象です。完成させたことがあるだけで、もうすごいのです。胸を張って誇っていい。
 さて、未完の作品の中にも傑作があったりするから、プレイヤーとしては実に悩ましいものです。

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 サークル機械式少女がリリースした『DEATH LORI -ですろり-』。戦闘的残酷ビジュアルノベル、と銘打っていました。組織同士の抗争を背景に、超人的な能力と比類ない狂気を持つ者たちが殺し合いを繰り広げるというのが大まかなストーリーです。
 この作品が登場したのは2005年。わざわざ年齢制限を設けただけあって、これでもかと繰り返される緻密な暴力描写は他の追随を許さず、それでいて科学に裏打ちされた頭脳戦もあったり、当時流行していたTYPE-MOON的な伝奇ノベルとはまったくベクトルの違うバトルが醍醐味でした。
 いきなり作者の語りが挟まったりして、ところどころユルいテキストも特徴のひとつでした。普通、こういうのはよしとはされないんですが、『ですろり』だとなぜか許せるというか。いろんな意味で不思議な魅力がありました。
 一番驚かされたのは、全4章、全40話という壮大な構想。第1章は体験版として無料公開されていましたが、これだけでゆうにシナリオ量1MBは超えていたはずです。あ、いましたと過去形ですが、ベクターでは5話までプレイできるバージョンがまだダウンロードできるようですね。

 即売会毎に少しずつバージョンアップしたものがリリースされていたのですが、サークルサイトは残念ながらすでに消滅しており、本作も開発が中断されています。私の手元にあるバージョンでは、第3章の23話までプレイできるのですが、この先いったいどうなったのか……。

 シナリオライターのチャーさんは、現在は別のサークル電動伝奇堂で別の作品『キョンシー×タオシー』の制作に携わっています。ビジュアルノベルの限界に挑戦するような動的演出に驚愕させられますが、それだけに難航しているようで、こちらもいつ完成するかわかりません。
 チャーさんはその筆力を買われ、小説家としてもデビューした実績があります。

リヴァイアサンのセカイ (ガンガンノベルズ)

リヴァイアサンのセカイ (ガンガンノベルズ)

 

 人類と吸血鬼の戦いをそれまでの諸作品とは異なる切り口で描いており、これもまた傑作です。しかし1巻が出たきりで、音沙汰ありません。もう出版契約期間は満了して版権は戻っていると思うので、電子書籍で続きを出してくれたら……などと思っているのですが。