Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

月姫誕生前夜。その才能をひたすら信じた男

 こんなまとめが話題になっていました。

togetter.com

 TYPE-MOON創立者奈須きのこ武内崇の両氏はいかにして出会い、『月姫』をリリースにこぎ着けたかが簡潔にまとめられています。
 このまとめで言及されている月姫読本はもう絶版ですが、プレミアがついているわけではないので、持ってない方はぜひ手に入れてみてください。特にロングインタビュー、一読の価値ありです。

月姫読本 Plus Period

月姫読本 Plus Period

 

 で、私がもっとも衝撃を受けたのがこの部分。

奈須◆ゲーム会社に勤めてたんですが…こんなこと言っ(武内さんを見て)ちゃダメですね。色々あって辞めることになりまして。かといって生活費も無かったんで、それを(武内に)相談しましたら「月々の生活費は自分が出すから、月姫に没頭してくれ」という話が出まして。
出典:月姫読本 Plus Period P216

 ……初めてこれを読んだとき、ちょっと信じがたい思いでした。親兄弟でもこんなことができるかどうか?
 ともあれ奈須さんはその後、『月姫』のシナリオを原稿用紙換算で5,000枚書き上げました。わずか4ヶ月で。

 なぜ『月姫』が……というより、奈須きのこがあれほどのヒットを飛ばし、同人ゲーム界を席巻したか。

  • 「面白ければ何でもあり」のPC美少女ゲーム業界が上り調子だった
  • マチュアでも扱えるノベルゲーム制作ツールが整ってきた
  • インターネットが普及し同人ゲームの情報が以前よりも手に入れやすくなった

 直接的な要因としては、こういったことが挙げられるでしょう。非常にタイミングがよかった。しかしこれらとは別に、もっとも大切なことがあります。

 

 武内崇という最大の理解者がすぐ側にいた

 

 本人の才能だけでは、どうしようもなかった。しかしひたすらにその才能を信じ、援助さえも惜しまない人がいた。この「信じる力」こそが、かの奇才を世に送り出した。
 ゲーム作りの根本は人間関係。そのことを噛みしめずにはいられないエピソードです。