Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

商業への飛躍。ギャングと歌姫が織りなす現代サスペンス

 アマチュアクリエイターにとっての夢、それはやはり商業進出です。同人ノベル・アドベンチャーゲームの発展は業界関係者の注目を集め、数多くのサークルをメジャーの舞台に立たせました。その代表格はもちろんTYPE-MOON。『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07氏は、サークルとしては今も同人ですが、プロのクリエイターとして多方面で活躍中です。一方で、鳴かず飛ばずで終わってしまったブランドも少なくないでしょう。
 以前レビューサイトをやっていた私は、こいつはプロにも劣らない面白さだぜとか好き勝手に論じていたわけですが、れいんどっぐは当初から商業で活躍できる可能性があると信じていたサークルでした。

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『僕はキミだけを見つめる』。これは2006年にリリースされた同人版で、2011年に全年齢対象のPSPソフト(ダウンロード専用)として、2015年には満を持してグラフィックとシナリオを刷新しフルリメイクされています。
 主人公は裏社会にも恐れられる少年ギャンググループ「サーベルタイガー」のリーダーとして都内を席巻していたが、中国マフィアに仲間を殺され、自分も狙われることに……。伝奇バトルやSF、ファンタジーが多い中、非現実要素のない純粋な現代を舞台にしたのが逆に新鮮でした。恋愛作品を除けば、他にこうした作品はあまりなかったと思います。
 ヒロインである歌姫・風早永遠の出生の秘密、マフィアとの対決、一匹狼だった主人公が築く仲間たちとの絆……。そのシナリオは無論欠点がないわけではなかったですが、それを補ってあまりある魅力がありました。特にラストシーンは同人ノベルゲーム史上に残るであろう感動に満ちていました。

 れいんどっぐはインレ(注18禁)として、『ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-』(これも元は同人でした)で商業ブランドデビュー。本作はロングセラーとなり、PS Vitaにも移植。先日には最新作『幕末尽忠報国烈士伝 MIBURO』の体験版も発表されました。今もっとも勢いのあるブランドのひとつになっています。

ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- V - PS Vita

ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- V - PS Vita

 

 これらに比べ、『僕はキミだけを見つめる』は規模としては小さいです(プレイ時間10~20時間もあれば、充分かとは思うのですが)。しかし作品の価値はボリュームで決まるわけではありません。中だるみのほとんどない良質なサスペンス、どんでん返し、そしてヒロインとの愛。同人時代からこの作品のよさを知っているんだぜ、と言えるのは私の小さな自慢です。
 なお外伝もあるのですが、こちらはリメイクされておらず(予定もない)、中古市場でなかなか高値がついているようです。