Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

月姫フォロワーの中でひときわ輝いていた伝奇ノベル

 同人ノベル・アドベンチャーゲームは、メジャーにはなりきれないまでも現在に至るまで多くの根強いプレイヤーと制作者を生み出しています。TYPE-MOONが2000年にリリースした『月姫』がその裾野を広げたことに異論を唱える人は少ないでしょう。もう原作をプレイしたことのない人のほうが圧倒的に多いんでしょうね。……そろそろリメイクの「発表」から10年経とうとしておりますが、本当に出るんでしょうか?

 何を隠そう私も『月姫』から同人ノベルゲームにはまり、ついには自分で作りはじめ、その趣味が高じてシナリオライターになったという経緯があります。とにかく『月姫』のインパクトは多大で、多くのフォロワーを生み出しました。特に文体。明らかに「ああ、奈須きのこに影響を受けたんだな」という作品が、それはもう多かった。
 しかしそういった『月姫』の影響を受けつつも囚われすぎることなく、オリジナリティある設定と世界観を確立した作品もありました。その中で特に印象深く、今でもファンなのがサークルibisの生み出した作品群です。

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 読みが難しいですがそれぞれ『悠遠ノ絲(ゆえんのいと)』『終ノ刻印(ついのこくいん)』『銀ノ鏡界(しろかねのきょうかい)』です。

 私が最初に体験版をプレイしたのは第二作の『終ノ刻印』でした。2004年、TYPE-MOONが商業第一作として『Fate/stay night』を出してしばらく経った後の頃でしたか。
 大学生で探偵事務所アルバイトの主人公は、退魔の訓練を受けた能力者。ある日依頼が舞い込み、人外の少女と遭遇するが、一矢報いるも殺されてしまう。そしてなぜか生き返る――というオープニングは、まさに当時のトレンドともいえるものでした。『Fate/stay night』の功績のひとつに、画面の拡大縮小をはじめとする動的演出の効果を知らしめ、方法論を確立したことがありますが、『終ノ刻印』もそれを盛り込んでいました。そしてシナリオとグラフィックをたったひとりでこなしているという点に、リスペクトを感じずにはいられませんでしたね。

 千年を超える長大な歴史設定をバックボーンにした、非常に緻密でかつ読みやすい伝奇ストーリーは、TYPE-MOON作品群にも比肩すると思ったものでした。当然第一作の『悠遠ノ絲』も購入し、さらには作者に直接問い合わせて、ショップではすでに取り扱っていなかった設定資料集を売っていただいたりもしました。オリジナルサントラは今もしょっちゅう聞いています。

 ibisはゲームサークルとしてはもう活動していません。これらのゲームを入手するのも現在は困難です。しかし小説サイトとして今も続いており、『悠遠ノ絲』『終ノ刻印』がAmazon Kindle電子書籍としてリリースされています。

悠遠ノ絲?: 千年絲魂の死神 (ibis novels)

悠遠ノ絲?: 千年絲魂の死神 (ibis novels)

 
終ノ刻印?: 血染めの千年ドラゴン (ibis novels)
 

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