Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

大ヒット作家・七月隆文氏が作ったギャルゲー

 コミケが近いですね。同人ノベルゲームから創作者としての道を歩んできた私ですが、サークルとしても一般参加者としても、もう何年もコミケには足を運んでいません。正直、気候的にキツくなってしまったのです。

 さて先日、レンタル倉庫に預けていた同人ゲームをすべて自宅に運んできました。レビューサイトをやっていたこともあり、手元に置ける余裕がないほど、多くのノベル・アドベンチャーゲームを購入してきたのです。できればずっとコレクションしておきたかったところですが、諸々の事情で大部分を整理することになりました。

 懐かしい秀作・佳作・怪作の数々。その中に、こんな作品がありました。

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ラノベ作家が、ひとりでギャルゲ作ってみた。」

 2009年にリリースされた『天使郷 -ヘブン-』は、そんなキャッチコピーが印象的な作品でした。

 制作者は七月隆文さん。ライトノベル作家として『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』をヒットさせ、その後『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』で一般文芸においても人気作家の座を確立しました。 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

 

 私はかつて運営していた同人ゲーム作者向けの支援サイトで、プロ作家にメールインタビューをしたことがありました。その中に七月さんへのインタビューもあったのです。初出は2010年。ごく簡単な内容ですが、この機会に再掲したいと思います。

Q1.ゲーム制作を始めたきっかけを教えてください。

 私のラノベデビュー作となった『Astral』は、もとはギャルゲの企画書でした。それくらいにギャルゲが好きだった……ということが、第一のきっかけでしょうか。

 次に、同人ゲームとの出会いがありました。『月姫』と『ひぐらしのなく頃に』です。いずれも素晴らしい作品であるとともに、きわめて少人数--ほぼ個人で作られていたことが、強く印象に残りました。

 そうか、もう個人でゲームが作れる時代になっていたのか、と。

 私は、もともと美大出身で絵を描いていたり、趣味で曲作りをしてたりしました。で、本業はラノベ作家。2006年の春だったかな。ふと気づいたのです。

「自分のスキルや趣味を合わせれば、ひとりでギャルゲが作れるかもしれない」

 あ、面白そうだ、やってみよう! そんな感じで始めました。

 Q2.ゲーム制作はどんなことが一番大変ですか?

 何もかも自分でやるのは、ほんとに大変でした。(もはやメリットも少ないし、オススメしない)

 あと、なにげに大変だったのは、背景素材となる写真の撮影。外はいいのですが、屋内はプライバシーとかあるので……問題にならないよういろいろ交渉したり。特に学校の撮影は困難を極めました。

 Q3.制作の中で一番こだわっていることを教えてください。

 プレイヤーに楽しんでもらうことです。

 同人は、自分の好き勝手にやること、悪く言えばオナニーに走ることも許される場ですが『天使郷』は趣味全開を掲げつつも、そこはプロの生活で得た感覚を大事にしました。

 この作品自体、自分の今までやってきたことの1つの決算という位置づけがあったので、自分の持っているもののすべてを動員しました。

 あと、作品の中身で言えば「真希菜・那由他・ラスト」のルートのクライマックスで流れる曲は、シーンの流れに連動させた劇伴音楽のような大作曲にしています。曲とシナリオのシンクロを楽しんで頂ければ。

 

 だいぶ前の作品なので、製品版は中古同人ショップなどで見つけるしかないでしょうが、体験版は今でもベクターでダウンロードできるようです。興味のある人はいかがでしょうか。