Arai Koh's Create Life

シナリオライター・アライコウのブログ。創作、新旧のインディーゲームなどについて書きます。

FGOに実装されたことだしホームズシリーズを読んでみよう

 アライコウです。はてなブログでの初めての記事になります。よろしくお付き合いください。

ホームズを知りたい? ならば……

 いよいよFGOシャーロック・ホームズが実装されましたね。クラスはまさかのルーラー。私は10連を1回だけ引いてみましたが、もちろんかすりもしませんでした(無課金ユーザー)。

 さて、第6章での初登場以来、実装を心待ちにしていたユーザーも多いでしょうが、そもそもホームズのことをよく知らない、原作を一度も読んだことがないという人は少なくないのではないでしょうか。私も初めて読んだのは30代に入ってからでした。「ホームズはすごい探偵」ぐらいのことしか知らず、ワトスンが医師であることも知らなかったレベルですし。

 FGOユーザーにとっては、今こそホームズシリーズを読む最良の機会です。で、長編短編いろいろあるみたいだけど、何から読めば? もちろん最初は第一作の長編『緋色の研究』です。第6章第14節「秘匿の研究」がこのタイトルに由来しているのは言うまでもありません。 

緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

 

 

緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫)

緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫)

 

 いろんな版元から出ていますが、Amazonで一番評価が高いのは光文社文庫版。私は創元推理文庫版を読んでいます。大ベテラン翻訳家・深町眞理子氏の技巧にあふれ、かつ丁寧な文章は、何だか読んでいるだけで知的になれる感じがします。Kindle版もあるので、電子書籍派の方もご安心を。

抜群のオープニング

 ホームズシリーズの素晴らしさは何かと問われれば、私はホームズその人のキャラクターだと答えます。同じ答えの方も大勢いるでしょう。常人離れした洞察力、あらゆる手を使って犯人を追い詰める行動力、ウィットに富んだセリフ、謎の格闘術バリツ……。現代ミステリーに出てくる探偵はだいたい変人ですが、まさにホームズはあらゆる探偵の祖にふさわしい。ラノベ主人公としても十分通用します。そんな彼の特異なキャラクターは『緋色の研究』のオープニングですでに示されています。

19世紀のロンドン。戦争帰りの元軍医ワトスンは、ひょんな縁から奇妙な男シャーロック・ホームズとの同居生活を始めることに。ホームズは初対面のはずのワトスンの来歴を次々と言い当ててみせる。

 要約するとこんな感じですが、妙な研究に没頭するホームズ、探偵についての持論、そして観察しただけであらゆる事柄を看破する彼の特異能力が、怒濤の勢いで描写されます。最初に最大のインパクトを持ってくるべき、とはもっとも重要な小説作法ですが、その点『緋色の研究』は完璧です。ホームズシリーズの魅力、そしてホームズ自身の魅力の大半は、このオープニングにすでに込められているといっても過言ではないかもしれません。作家を志す者すべてが模範とするべきでしょう。

まずはこの一冊から

 具体的なストーリーについては触れませんが、FGOユーザーにとってはホームズのキャラクター性こそが何よりも知りたいものでしょう。別に全作揃える必要はありません(私も持ってません)。この『緋色の研究』を一冊読むだけで、ホームズという男のキャラクターを十全に知ることができます。もっともっと知りたい! と思ったなら、少しずつ揃えていけばいいでしょう。ちなみにモリアーティ教授が初登場するのは、第2短編集の『回想のシャーロック・ホームズ』収録の「最後の事件」です。